花子のノート
篠山マラソン

 篠山マラソンは、途中の日曽山峠が難関ということですが、わたしは普段、峠を練習コースにしているので、高低差はその範囲なので、あまり「上りだから、下りだから」ということを考えずに、5キロごとの時間を気にしながら走ることにしました。最初の10キロは、スタートからスタートまでをぐるっと1周するような感じで、ほとんど平坦ですから、最初のペースをこの10キロでつかまなければなりません。
 でも、スタート直後は、ほとんど走れず、スタートラインを越えてからも止まるようなことがありました。スタートロス6分というのがちょっと長すぎて、慌てていたのと、なかなか進まないことに少しイライラしていました。それでも、前の人をよけながら走っては、疲れるので、前があいたら出るという感じで走っていきました。
 最初の5キロは30分59秒(グロス36分50秒)。キロ6分10秒を切っています。ペースはいいけれども、オーバーペースになってないか、自分ではよくわからなかったけれど、まずはいいタイムで走ることができました。10キロを65分くらいでいければと思っていたので、その目標をクリアするために、あと5キロ、頑張ろうと思いました。
 6分10秒を切るというのは、ジョグしかしていないわたしには、もしかしたら頑張りすぎていたのかもしれません。お天気がよく、暑さを感じはじめていました。篠山といえば、寒いものという感じで、長袖のランシャツにロングタイツ以外にウェアは考えていなかったけれど、もしかしたらウェア選びを間違えたのではと思いました。いろいろ考えて、長袖、ロンタイにしたのならいいけど、他の選択肢を考えずにこのウェアにしたので、そういうマイナス思考はすぐに大きくなっていきます。でも、これをここで断ち切るために、「わたしは5時間ランナー、30キロを過ぎたら、風がきついから、半袖では絶対に身体が冷える。あとで、長袖にしておけばよかったと思うことが絶対にあるので、これでいい。暑いよりあとの寒さで身体が動かないほうが深刻だ」と自分に言い聞かせました。実はわたしは、こういうウェアの暑さって、大嫌いなのです。身体のなかが蒸れていく、むわっとした感じが耐えられないのです。だから普段でも、薄着だし、たくさん着ていても、脱げるような格好をしています。だから、この暑さは、ほんとうはガマンできないくらいのものだったのです。
 暑いので、給水場所では必ず、水をとりました。去年の11月、上尾のハーフを走ったとき、10キロの給水で止まってしまってから、脚が動かなくなった経験があるので、止まってしまわないように気をつけていました。上尾のときもそうだったのですが、一旦、遅いペースになってしまうともういくら頑張ってももとのペースにわたしは戻せないので、せっかくの6分ちょっとのペースをとにかく維持しようとがんばりました。
 10キロ付近になると、丁度、太鼓の応援がありました。応援ポイントなのでしょうか、たくさんの人の応援がありました。わたしは太鼓の応援が大好きなんです。なんか自然と身体が動いていくような気がしました。
10キロ付近で見たのかどうか忘れましたが、わたしにではないですが、とっても力づけられる応援がありました。「あきらめようと思ったときが、スタートや!」というようなことが、大きく書いたものを見たとき、「もうダメ、そう思ったときに、どれくらい頑張ろうと思えるかが大切。もうダメと思えるところまでとにかく頑張ろう!」と思いました。その横断幕は、コースの途中で何度か見かけることになって、その後もわたしの大きな力を与えてくれました。あとでテレビを見てわかったことですが、この横断幕は、神戸の中学生が担任の先生にむけて作られたものだそうです。
 5キロから10キロは31分10秒。最初の5キロとだいたい同じくらいのペースでいけました。グロスタイムは1時間8分だったので、10キロ65の目標を大きくクリアして3分の貯金ができました。でも、貯金ができたからといって気を抜いてはいけません。10キロかけて作った貯金でも、後半ではあっという間に使い果たしてしまうことがあるからです。脚には、相変らず「5時間頑張れる?」と問いかけながらの通過でした。

 オープン参加の亀さんが10キロ付近で応援してくださるものと思っていたけど、お姿はなし。遅いし、もう行ってしまわれたのかなと、思いつつ、亀さんいないかなぁと思いながら、10キロを通過しました。あとでわかったことですが、亀さんは最後尾から走られていたそうです。どこかで抜かしていかれたのですが、コース上ではみつけられませんでした。
 亀さんは最後尾からスタートされて、走っていかれて40キロのところで止めようと思ったら、スタッフの人に「なんで止めるんですか?完走証がもらえるのに」と説得されたそうです。オープン参加(というか勝手に走っている)とも言えず、「このタイムの完走証もらっても仕方ない」みたいな言い方をして、説得をふりきったようです。いろいろなことがあるのものです。

W 最初の5キロから10キロ

 開会式のセレモニーはいたって、シンプルです。市長のおハナシも簡潔に終わります。こういうところはランナーの心理をよく考えているなと思います。ことしはお天気がよかったけれども、すごい土砂降りになったとき、市長(当時は町長)さんは、「これもわたしの責任、申し訳ありません」と謝ってられました。お天気だけは人間の力では変えることはできないけど、それを受け止める気持ちは変えられるのかもしれません。
 
 スタートはまず登録の部から。わたしが並んでいるところからは、公認の部の動きはまったく把握できません。ヘリコプターの音と、スタート○秒前というアナウンスだけが頼りで、公認の部がスタートしているのを察知していました。
 登録の部がスタートしたら、未登録の部が移動するのですが、ブロックごとの移動ですから、わたしのいる第3ブロックは、まったく動く気配はありません。ほんとうに10分後にスタートできるのかなぁ?とイヤな予感がしました。それでもちょっとずつは動くのですが、スタート位置ははるか先です。未登録の部のスタートも、全然、実感がなく、同じようにヘリの音とアナウンスでスタートしたことを知りました。
 列はなかなか進まなくて、それは3分経っても同じでした。最後尾スタートしたときでもこんなにかからなかったはずと思うと、かなり不安になってきました。わたしの完走計画では一応ロスは5分くらいと思いつつ、内心は3分くらいと思っていたから。それでもそんなことを今さら、悔やんでも仕方ありません。10分ロスしても、1歩1歩、しっかり走っていく積み重ねで、ロスは取り戻せると自分に言い聞かせてスタート位置にたどり着くのを待ちました。結局、スタートラインを越えたのは5分50秒後。「ここからがスタート」という気持ちと「6分のロス」。この2つの思いを持ちながら、走っていくことになります。
 最初は人が多くてなかなか進まないのと、自分のペースをどうつくっていけばいいのかわからないので、かなり戸惑います。自分の脚に「5時間だよ、5時間頑張れる?」と問いかけながら、先を急ぎました。あまり最初で遅いペースに慣れてしまうと、そのあとペースをあげることができないからです。「あまり頑張らないように頑張る」という矛盾をいかに実現していくか、そうやって今年の篠山マラソンが始まりました。

V いよいよスタート

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